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私の愛する映画シリーズ 第8回「世界大戦争」

1961年10月8日公開 芸術祭参加作品
監督/松林宗恵
脚本/八住利雄、木村武(馬淵薫)
特技監督/円谷英二
音楽/團伊久磨

(物語)
戦争が終わって15年、日本は見事に復興を遂げ、人々は幸せな生活を送っていた。その中の田村茂吉(フランキー堺)一家は、貧しいながらも、妻お由(乙羽信子)や、長女冴子(星由里子)らと共に幸せな生活を送っており、また冴子は笠置丸の乗組員、高野(宝田明)と愛し合っていた。
そんな幸せな市民生活とは裏腹に、世界情勢は不穏であり、遂に朝鮮半島の38度線では核兵器が使われてしまった。ある国では核ミサイルが何故か発射されそうになる。
しかし何とか世界情勢は落ち着く。が、ふとした事からまた戦争が勃発。遂に大陸間弾道ミサイルが発射される事態にまでなり、人類は滅亡に向かっていく。
核ミサイルが飛んでくるという事でパニックに陥る東京の街。田村一家に出来ることは、ただ「最期」を我が家で待つことであった…。

世界平和への祈りを込めて、東宝が総力を挙げて制作した、人類の滅亡を描いた映画です。
この映画は、「核戦争による人類滅亡」を、一般市民の視点から描いています。
幸せな生活を送っていく人々の裏では、「見えない何か」によってその幸せな生活が壊されようとしている…。
そんな恐ろしさをよく描いている映画です。
この映画には悪人は一切登場しません。
誰も人類滅亡を望んでいません。
首相(山村聡)も、田村一家も(そもそも茂吉は人類が滅亡するとは思っていないのですが)、ミサイル基地の軍人たちも…。
ミサイルの発射ボタンを押すミサイル基地の軍人の顔は、「何で押さなくてはいけないのだ…」という表情に満ちています。
戦争とは何の関わりもない、静かに暮らしている人々の生活が、突然断ち切られる…。
松林監督は、この物語に「太平洋の嵐」でも感じられる「静かな怒り」をもって描いています。
結婚して赤ちゃんを産むであろう高野と冴子の未来も、お由に病気療養の為の別荘を建ててあげたいという茂吉の夢も、子どもたちの未来も、核戦争で容赦なく奪われてしまいます。
田村一家は最後、自分の家で「最後の晩餐」とも言うべきなのでしょうか、出来る限りの御馳走を用意して、決して自分の家から離れません。
核戦争で何で自分たちの生活が奪われなくてはいけないのか、という怒りが込められているのです。
その中での乙羽信子の台詞が重いです。
フランキー堺が「嫌な父ちゃんだと思われてきたかな」と言うのに対して、乙羽信子が「後悔する人なら他に沢山いるよ」と言うのです。

晩餐の後茂吉は叫びます。
「原爆でも水爆でも来てみやがれ、俺たちの幸せには指一本触れさせねえぞ!俺たちは生きてるんだちくしょう!」そして、涙を流しながら「母ちゃんには別荘建ててやるんだい!冴子には凄い婚礼させてやるんだ!春江(茂吉の二女)はスチュワーデスになるんだ!一郎(茂吉の長男)は大学にやってやるんだい!俺の行けなかった大学によぉ…。」
抗えない現実に対して市民が出来ること、それは精一杯怒りをぶつけることでした。
何故我々の未来が奪われなくてはいけないのか、何で我々の生活が壊されなくてはならないのか…。
とにかく核戦争の恐ろしさをこれでもかと映画です。

それを盛り上げたのが、円谷英二特撮による、東京が核ミサイルで壊滅、いや消滅するシーンでした。
国会議事堂の上に光が現れ、上空で物凄い光を放ち爆発、そして全ての建物、建てられたばかりの東京タワーも吹き飛ばされます。
そして地面は溶け、溶岩の様になり、その中に破壊された国会議事堂が…。
凄いイメージです。
この映像が、核兵器の威力・恐ろしさを見せつけています。
そしてこの中に田村一家がいたのだと思うと尚更恐ろしくなります。
更には大プールの中の潜水艦からICBMが発射される映像は、実写かと見間違う映像です。
ちなみにこの映画では、円谷英二の最初で最後であろう、ジェット戦闘機同士のドッグファイトが見られます。

東京・ニューヨーク・モスクワ・ロンドン・パリなど、世界各地の都市が壊滅した後、海上に逃れていて助かった笠置丸の司厨長江原(演じるは名優笠智衆!)はこう言います。
「ここにいる皆がコーヒーを飲みたいというように、世界の皆が、生きていたい、戦争は嫌だ、戦争は止めようと言えばよかったんだ」
「人間は素晴らしいもんだが、一人も居なくなるんですか…、地球上に…。」

そして廃墟と化した東京の画面に、この様な字幕が被ります。
「この物語は架空のものであるが、明日起こる現実かもしれない。しかしそれを押しとどめよう!我らすべてが手をつないで…。まだ それが 起こらない中に
戦争を防ぐためには、我々一般市民が声を出さねばなりません。
戦争を起こそうとしている為政者に乗せられてはいけないのです。

現在、冷戦は終結し、核ミサイルが東京に飛んでくる、というのはリアリティの無い話になってしまいましたが、この映画の持つメッセージは普遍的なものです。
「戦争で一番ひどい思いをするのは、幸せに暮らしている一般市民である」と…。
この映画、世界の為政者に見てもらいたいぐらいです。
そして、「戦争は無くせない」などと簡単に言う人にも…。

ちなみにDVDには2chモノラル音声のほかに、当時試験的に導入されていた4chステレオ音声も入っています。
4chだと音楽までよく聴こえ、本当に泣けてきます。
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ゾンデ5号

Author:ゾンデ5号
鉄道、特撮、アニメ、落語、その他もろもろ色々なものが好きな高校生のブログです。
色々な方面のネタを書きます。
特撮と言っても怪獣映画から戦記映画、SF、時代劇、ウルトラシリーズ、仮面ライダーシリーズ、アニメではタイムボカンシリーズ、新造人間キャシャーン、銀河鉄道999が好きです。
好きな俳優は主に東宝の俳優の方が多いです。
声優では故・富山敬さん、岡本茉利さんなどを贔屓しています。
鉄道では乗ること、撮ることが好きです。
好きな車両は583系、485系、455系、東北新幹線200系、E2系、ED75型機関車などが好きです。

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